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155号(2004年12月号)

特集「四万十川流域を科学する-1」

高知県四万十川が,なぜ昨今これほど注目されているのか。その理由は本川の豊かさにある。四万十川の下流域から河口域にかけては,地域住民が伝統的かつ独特な漁法によって川漁専業で生計を立てており,自然と人が共生する環境を作り上げている。豊かさとは生物生産の包容力を持ち,かつ多様性に富んでいることである。さらに沿岸海域の生物生産を知るためには,上流域の森林の機能に始まり,河川流域を通して,沿岸域,さらには外洋水まで総合的に研究することが重要とされるが,これらの相互関連は,必ずしも科学的に明らかにされてないのが現状である。
四万十川は,森林から沿岸域までの流域をひとつの生態系として捉えることのできる残り少ない環境モデルである。本特集がその突破口の役割を果たせば幸いである。

高橋 正征 見過ごされてきた河口域の一次生産力−ケーススタディとしての四万十川での調査・研究の可能性
和 吾郎 四万十川流域の栄養塩類 源流域から沿岸域まで
平岡 雅規・嶌田 智 四万十川の特産品スジアオノリの生物学
石川 愼吾 四万十川下流域の河辺植生
前藤 薫・佐藤 重穂 トンボからみた四万十川流域の自然環境
鳥居 厚志 森林は河川・渓流の水質にどのように影響しているのか?
田井野 清也 河口域の密林 コアマモ群落の生態
平岡 雅規 <コラム>世界初・海洋深層水によるスジアオノリ養殖

連載

林 健一 日本産エビ類の分類と生態【138】テナガエビ科・カクレエビ亜科−ホンカクレエビ属4
川嶋 昭二 日本産コンブ類の分類と分布【89】コンブ科−スジメ属(1)−スジメ(1)
佐々木 克之 内湾および干潟における物質循環と生物生産【36】有明海漁業3.タイラギ漁業
島本 信夫 マダイの生物学【9】成長と成熟
喜多村 稔 クラゲ類の生物・生態学【5】 共生

Research Articke

長縄 秀俊 東アジアの大型鰓脚甲殻類:7.カイエビ類研究の夜明け ― 今よみがえるDaday de Dees(1915−1927)の文献リスト
朝倉 彰・太田 秀・渡部 元 ヤドカリ類の分類学,最近の話題−オキヤドカリ科

コラム

海で拾った万華鏡−冬の夜磯 (飯島 明子)

154号(2004年10月号)

特集「残留性化学物質による沿岸汚染」

残留性化学物質が生態系におよぼす影響については,昨今,小中学生の教科書にも詳細に解説がなされているほど注目度が高い。市民レベルでの環境に対する意識は急速に高まりつつある。しかし,現状が理解されているケースはどのくらいのものであろうか。今回の特集では,東京湾を中心に,ダイオキシン類の汚染の歴史から,その挙動,生物への影響評価といった現在の様子を紹介し,今後どのようにこれらの問題に取り組むべきなのかを考えるための指標としたい。
益永 茂樹 日本の水環境におけるダイオキシン類汚染の原因と影響評価
益永 茂樹 東京湾のダイオキシン類汚染の変遷
小林 憲弘 東京湾流域におけるダイオキシン類の移動量と収支
小倉 勇 底質中コプラナー PCB の汚染要因の解析
内藤 航 東京湾の水棲生物におけるダイオキシン類の生物蓄積
村田 麻里子 魚食性鳥類に対するダイオキシン類のリスク評価

連載

林 健一 日本産エビ類の分類と生態【137】テナガエビ科・カクレエビ亜科−ホンカクレエビ属3
川嶋 昭二 日本産コンブ類の分類と分布【88】コンブ科−トロロコンブ属(5)−ガゴメ(3)
関口 秀夫 イセエビ類の生活史【107】個体群の形成,維持および更新(30)

Research Articke

朝倉 彰 ヤドカリ類の分類学,最近の話題 ホンヤドカリ科その4

コラム

海で拾った万華鏡−磯の秋 (飯島 明子)

153号(2004年8月号)

特集「アマモ場造成と生物多様性の保全」

現在では日本の各所で開発が進み,陸も沿岸も元の自然の姿が消えつつある。そのような中で,自然をもとに戻そうという試みがなされている。アマモ場もその一つだ。だが,単に回復させるということだけでよいのだろうか。そこにはアマモ場の構造と機能についての基礎的な研究や良好なアマモ場についての知識と科学的解明が必要であろう。「藻場造成」ということがどういうことであるのか,また藻(アマモ)場造成をするときにはどういった点に留意すべきなのかといった意味を考える。

相生 啓子 アマモ場造成と環境保全機能
田中 義幸 環境要因に対する熱帯性海草の適応戦略
玉置 仁・新井 章吾 生物の謂集効果に及ぼすアマモ場の群落構造の影響
加藤 由実子・颯田 葉子 phyA 遺伝子の塩基配列に基づくアマモの集団遺伝学的解析−日本沿岸域の海草の多様性と起源に関する考察
森田 健二 アマモ場造成の実践からみた生物多様性の保全とアマモ場成立条件の検証
コラム 海産種子植物みに図鑑(1〜13)

連載

林 健一 日本産エビ類の分類と生態【136】テナガエビ科・カクレエビ亜科−ホンカクレエビ属2
佐々木 克之 内湾および干潟における物質循環と生物生産【35】有明海漁業1.アサリ漁
島本 信夫 マダイの生物学【8】食性
田中 次郎 〔最終回)汽水産多細胞藻類の分類と形態【35】最終章
関口 秀夫 イセエビ類の生活史【106】個体群の形成,維持および更新(29)
喜多村 稔 クラゲ類の生物・生態学【4】寄生

コラム

海で拾った万華鏡−人のことはいえない (飯島 明子)
書評−サケ・マスの生態と進化<前川光司:編> (井口 恵一朗)

152号(2004年6月号)

特集「海産無脊椎動物の幼生」

海産無脊椎動物の幼生は親とは似ても似つかない姿をみせる。しかも,多種多様な形態を誇り,長い年月をかけて進化を遂げつつ生き抜いてきたのは驚嘆に値する。なぜこういった成長段階が繁殖戦略の上で必要とされるのか,それぞれの専門分野で最新の話題を織り交ぜて幼生の研究の重要性を解説していただいた。「幼生の不思議な生態」を紹介する。

石井 晴人 ミズクラゲ幼生の生態
大澤 正幸・藤田 喜久 カニ類幼生に関する最近の話題
福岡 弘紀 アミ類の保育と取り込み行動
若林 敏江 頭足類浮遊稚仔研究の現在
灘岡 和夫・波利井 佐紀 サンゴ幼生の広域分散と海水流動物理過程
浜口 昌巳・粕谷 智之・日向 博文 東京湾におけるアサリ浮遊幼生の分散 調査手法と大規模調査結果の解説
最上 善広 ウニ幼生の重力走性行動−発生とともに変わる力学戦略

連載

林 健一 日本産エビ類の分類と生態【135】テナガエビ科・カクレエビ亜科−サジノテカクレエビ属・ホンカクレエビ属1
関口 秀夫 イセエビ類の生活史【105】個体群の形成,維持および更新(28)
佐々木 克之 内湾および干潟における物質循環と生物生産【34】有明海漁業1.漁業の特徴
閉鎖性沿岸域の生態系と物質循環【第11回−最終回】
  中田 喜三郎・山室 真澄 宍道湖・中海を対象とした生態系モデルー懸濁物食性二枚貝の効果

コラム

海で拾った万華鏡−私が干潟に埋まるわけ (飯島 明子)
書評−Tropical Deep-Sea Benthos 第23巻 (林 健一)
追悼−RAMON MARGALEF 1919ー2004 (Trevor Platt)

151号(2004年4月号)

特集「微生物を利用した環境修復とゼロエミッション構想」

昨今微生物の生態や機能性に着目した研究がさまざまな分野で進みつつある。特に分解菌を用いた環境浄化装置やバイオレメディエーションは,ここ数年にわかに脚光を浴びている。廃棄物ゼロの社会を目指すゼロエミッション産業構想の実現に向けて,微生物の利用はどのように進展しているのか,微生物工学の現状とその将来性に嘱目した。

藤井 克彦 環境ホルモン分解微生物の探索と技術応用
福田 雅夫 PCB 処理における微生物の利用
上野 良平・浦野 直人「原油分解クロレラ」と「殺虫クロレラ」:未知なる白い緑藻の実力と進化
田畠 健治・兼広 春之 生分解性プラスチックの海洋資材への利用
柳川 敏治・小串 泰之・長沼 毅 クラゲ分解菌の利用
濱田(佐藤) 奈保子・水石 和子・渡邉 悦生 トリブチルスズ化合物の海洋微生物による分解
法邑 敏幸 ビール工場排水からのバイオガスを利用した燃料電池システム

連載

林 健一 日本産エビ類の分類と生態【134】テナガエビ科・カクレエビ亜科―ヒトトゲコツノカクレエビ属・ツノヤドリエビ属
関口 秀夫 イセエビ類の生活史【104】個体群の形成,維持および更新(27)
【再開!】佐々木 克之 内湾および干潟における物質循環と生物生産【33】干潟と漁業生物7.有明海のクルマエビ
閉鎖性沿岸域の生態系と物質循環【第10回】
 中村 由行 富栄養化した汽水湖における栄養塩循環と水質分布に関わる懸濁物食性二枚貝の効果

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