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沿岸生態系の解析 A Coastal Marine Ecosystem Simulation and Analysis

J. N. クレーマー & S. W. ニクソン:著 中田 喜三郎:監訳 
B5判/104頁/ISBN4-915342-01-8


モデルが開発されてから10年の間に,ナラガンセット湾や他の沿岸海洋環境の解析について,私たちが研究した複雑な生態系モデルを数値シミュレーションで解いていこうとする試みについては,各機関でかなりの進歩が見られます。私たちはこの本が出版された後でも,モデルの中のいろいろな側面について改良したり,新しく得られた知見を加味して,モデルの内容を今日的なものにしようと研究してきました。特に水柱や堆積物中での微生物分解過程や栄養塩の回帰といった過程についての工夫をモデルの中に組み込んでいくということです。
また読者からのいろいろなコメントや,私たちの経験からこのモデルの基本的な理念,開発の方向性は現在においても変わっていないと思うし,利用する立場の人たちにとっても十分利用に耐えうるものと信じています。
私たちがこの序文を書くにあたって望むことは,この翻訳本が,海洋生態学に大きく貢献してこられた日本の研究者の方がたに対して,シミュレーションモデルの開発や利用の参考となり,また刺激にもなればということです。(著者ら,本書序文より)
環境管理の手段としてのモデリングの教科書に最適。
生態系における各過程の詳細を記述し,モデルの構成,モデルの運用,位置づけなどを明確に著述。
本書の読み方,利用の手引きを巻末に座談会形式で紹介。


【主要目次】

概説 生態系モデルの発展/モデル開発までの経緯/ナラガンセット湾−物理環境/生物−
ナラガンセット湾モデル 定式化の一般的な考え方/モデルの概要
モデルの考え方
強制関数 温度/日射/潮汐流/ロードアイランド水道との海水交換/河川流量
植物プランクトン 温度と成長/栄養塩の影響/光の影響−論理的背景/時間と空間に関する Steele の式の積分/光順化と Iopt の選び方/自己遮光と消散係数/沈降速度−/2つの植物プランクトングループ
動物プランクトン 一般的な背景/摂食−摂食量と濾過速度/最大摂食量/最大摂食量の低下/共食い−同化/呼吸/排泄/産卵/孵化の時間/幼生の発育−幼生の成長速度/発育時間/餌料制限−
その他のコンパートメント 肉食性動物プランクトン/成魚と高次の栄養段階/海底系−アサリによる摂食/栄養塩の回帰−/栄養塩
シミュレーションと解析
数学的な考察とコンピュータプログラム 瞬時の速度,有限区間の速度,および時間積分/コンピュータプログラムの開発−一般知識/コンピュータシミュレーション/ナラガンセット湾のコンピュータプログラム−
潮汐混合モデル
基本計算 パラメータの選択/動物プランクトン/植物プランクトン/概説/速度とメカニズム/植物プランクトンを制御する栄養塩と摂食の役割/動物プランクトンの排泄と海底からのフラックス/動物プランクトンの炭素の代謝収支/年間の総まとめ
生物過程の役割 最適光と順化/最も制限の強い栄養塩/2つのグループと栄養塩の余剰摂取/動物プランクトンの幼生の共食い/肉食者の役割
感度と安定性 感度解析−初期条件/流体力学特性/消散係数/植物プランクトン/動物プランクトン/季節変化/感度解析の一般的な意味と役割/数値的な安定性−
モデルの応用と限界 生態系モデルと環境管理/全体主義と還元主義

座談会/訳者あとがき/文献/人名・事項索引

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