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173号(2007年12月号)

特集「有明海の環境変化−現場からさぐるその実態」

有明海は,戦後間もなくから流域や沿岸干潟域の開発にさらされつつ,漁業の近代化とノリ養殖の導入が進められ,環境に対するインパクトを受け続けてきた海である。近年,有明海の環境変化に対する関心が急速に高まり,大学や研究機関などが精力的に調査や研究を進めている。本特集では,有明海の利用と環境保全を考えるための基本的な知識となるよう,現場から得られる有明海の環境変化の実態を示し,なにがその原因と考えられるかを,最新の研究成果をまじえながら紹介した。

中田 喜三郎「特集「有明海の環境変化」によせて」
滝川 清・秋元 和實・園田 吉弘・増田 龍哉「有明海の海域環境の変動特性と再生方策」
白谷 栄作・桐 博英・丹治 肇「潮流の変化はどこまで解明されたのか」
左山 幹雄「有明海泥質干潟堆積物における現場脱窒活性」
中西 弘・中嶋 雅孝「有明海の栄養塩動態の変化」
横山 勝英「有明海への土砂流入と底質環境」
速水 祐一「有明海奥部の貧酸素水塊」

連載
林 健一「日本産エビ類の分類と生態【156】 タラバエビ科−ビシャモンエビ属・モロトゲエビ属1」
佐々木 克之「内湾および干潟における物質循環と生物生産【47】 瀬戸内海漁業6.兵庫県瀬戸内海区の漁業」
横浜 康継「海藻という植物【2】 海藻を観察する
<新連載>川嶋 昭二「宮部金吾博士:北海道昆布調査旅行日記【1】」
<新連載>原口 昭「日本の湿原【1】 日本の湿原の価値とその機能について」
<新連載>鷲見 栄一「懸濁態粒子の粒径分布の現地測定【1】 非生物態粒子と生物態粒子の測定」

コラム
魚影逍遥−魚に発信機をつけて ノルウェーの食卓を飾りつづけた魚(三田村 啓理)
海で拾った万華鏡 BEM での驚き (飯島 明子)

第 29 巻総目次

172号(2007年10月号)

特集「これからの赤潮学」

赤潮といえば、ここ日本では子どもから大人まで耳にしたことがない人はいないだろう。富栄養化など自然のバランスが崩れることで顕在化するその現象は,沿岸や内湾環境にすむ魚介類に大きな影響を与える。このような赤潮は,わが国のみならず世界各国の沿岸で発生しており,その問題はグローバル化しているといえよう。
本特集では,長年積み重ねられてきた赤潮研究を振り返りながら、これまであまり取り組まれなかった話題を中心に、新しいトピックを紹介しながら今後の展望を詳説する。

今井 一郎「特集「これからの赤潮学」に寄せて」
西川 哲也「珪藻赤潮の発生とノリ養殖への色落ち被害」
石川 輝・石井 健一郎「有害有毒赤潮生物のシスト発芽研究における進展と将来展望」
神川 龍馬・左子 芳彦「有害有毒赤潮生物ゲノム情報の応用」
長井 敏・西谷 豪・山口 早苗「高度多型分子マーカーを用いた有害・有毒赤潮生物の個体群構造の解析と分布拡大機構の解明」
内藤 佳奈子「有害有毒赤潮の発生における制限要因としての鉄の役割」
白石 智孝・今井 一郎「抗体を用いた有害赤潮生物のモニタリング」
西堀 尚良「有害有毒赤潮発生におけるポリアミンの役割」
今井 一郎「有害有毒赤潮生物の出現と分類の歴史的経過」

連載
林 健一「日本産エビ類の分類と生態【155】 タラバエビ科−ミノエビ属3」
<新連載>横浜 康継「海藻という植物【1】 海藻は植物か?」

Research Article
横山 寿「Paraprionospio 属多毛類の分類と系統」

全国水産試験場長会 会長賞
川真田 憲治「平成 19 年度の全国水産試験場長会 会長賞を受賞した「日本海ニシン資源増大プロジェクト研究」の概要」

コラム
魚影逍遥−魚に発信機をつけて つかめなかったもの(三田村 啓理)
海で拾った万華鏡 海中の虹 (飯島 明子)

171号(2007年8月号)

特集「輸入魚介類の疾病」

近年の魚介類養殖や輸入にともない,発生する病気も多様になってきている。コイヘルペスに代表されるように,ニュースなどでも多く取り上げられ,専門家や現場の人々のみならず一般の消費者にも関心の高い議題であろう。大きくニュースとして取り上げられるもののほかにも,一般には知られない疾病が入ってきていたり,また日本に入る前にその侵入を懸念しなくてはいけないものもたくさんある。
専門家の間でホットトピックスとなっている魚病についての知識を広く知っていただくために,それぞれの話題ついて解説をお願いした。

室賀 清邦「輸入魚介類の疾病:総論」
飯田 貴次「コイヘルペスウイルス病」
笠井 久会・吉水 守「伝染性サケ貧血症(infectious salmon anemia: ISA)」
良永 知義「貝類のパーキンサス原虫症」
小川 和夫「中国産の養殖トラフグに発生した血管内吸虫症について」
平江 多績「養殖ブリ・カンパチの新型レンサ球菌症」
大迫 典久「クルマエビ類の新しい疾病」

連載

林 健一「日本産エビ類の分類と生態【154】 タラバエビ科−ミノエビ属2」

Research Article
朝倉 彰・森上 需「千葉県河口域のカニ類」

全国水産試験場長会 会長賞
平成19年受賞業績1:大慶 則之・奥野 充一・町中 衛・又多 敏昭・山下 邦治・白田 光司「急潮現象の発生機構の解明と予測に関する研究」
全国水産試験場長会の紹介

コラム
魚影逍遥−魚に発信機をつけて 好きこそものの上手なれ(三田村 啓理)
海で拾った万華鏡 嵐を呼ぶ女? (飯島 明子)

170号(2007年6月号)

特集「海洋生物の越境移入と沿岸生態系の撹乱」

近年,物流システムのグローバル化・大量化・高速化にともない,様々な生物が国や大陸を越え越境移動をし,外来種の定着・繁殖による既存生態系の撹乱が深刻化している。この状況は目につきにくい沿岸生態系でも同様であり,一部の海洋生物は日本から世界各地へ分布を拡げ,各地の沿岸生態系の脅威となり,逆に世界各地から日本に侵入し生態系を撹乱している生物も多いと考えられるが,その実態は不明な部分が多い。一方,多くの国際港湾が位置する東京湾や大阪湾などは,輸送船舶による海洋生物越境移入のホットスポットと考えられ,実際に多くの外来種が報告されている。これら沿岸における外来海洋生物の実態と,海洋生物の越境移入の経路や起源の解析に関する最新の研究成果を紹介する。

川井 浩史・福代 康夫「「海洋生物の越境移入と沿岸生態系の撹乱」特集によせて−越境移入の動態把握をめざした研究とバラスト水管理条約」
功刀 正行・津金 正典・金子 仁「船舶におけるバラストタンクの構造とその物理化学環境」
河地 正伸・出村 幹英・ノエル マリエレン・都丸 亜希子・大村 卓朗「バラストタンク内における微生物の動態と越境移動問題について」
川井 浩史・上井 進也・羽生田 岳昭・山田 味佳・嶌田 智・中村 規代典「大型海藻類の大陸間越境移動−遺伝子マーカーを用いた移入集団の起源と拡散経路の解析」
木村 妙子・大谷 道夫「大型輸送船に付着する底生動物の実態とその起源の探索」
風呂田 利夫「東京湾における外来種の生息状況」
鍋島 靖信「大阪湾と瀬戸内海における移入海洋生物(動物)とその現状」

連載

林 健一「日本産エビ類の分類と生態【153】 タラバエビ科−ヒメモバコエビ属・サヨエビ属・ミノエビ属1」
佐々木 克之「内湾および干潟における物質循環と生物生産【46】 瀬戸内海漁業5.岡山県漁業」
グリゴーリー・イヴァノヴィチ・ガラジー,長縄 秀俊「バイカル湖学」入門【2】 伝説と仮説」
川嶋 昭二「日本産コンブ類の分類と分布【95】[最終回] コンブ科−ネコアシコンブ属(2)−ネコアシコンブ(2)」

コラム
魚影逍遥−魚に発信機をつけて バイキングの国へ(三田村 啓理)
海で拾った万華鏡 本のちから (飯島 明子)

169号(2007年4月号)

特集「珪藻の新・生物学 II」

珪藻の水圏における第一次生産者としての役割は重要である。しかしその生態や多様性,進化系統に関しては不明な部分が多く,興味が尽きることはない。珪藻とはどんな生物なのか?
166号に続き,珪藻に対する新しい視点からの研究成果を紹介する。

鈴木 秀和「珪藻特集 II によせて−珪藻の魅力」
南雲 保・鈴木 秀和「珪藻類の有性生殖と増大胞子」
豊田 健介・David M. Williams「珪藻基準標本と標本館」
田中 宏之・南雲 保「日本の化石珪藻研究」
寺阪 隆・田中 次郎「海産付着珪藻リクモフォラ属 Licmophora の形態と分布」
長崎 慶三・外丸 裕司・白井 葉子・高尾 祥丈・水本 祐之「珪藻学とウイルス学の邂逅」

連載

林 健一「日本産エビ類の分類と生態【152】 タラバエビ科−ウミカラマツエビ属・クラゲエビ属」
グリゴーリー・イヴァノヴィチ・ガラジー,長縄 秀俊(新連載)「バイカル湖学」入門【1】 水圏物理学」

新刊紹介
日本海草図譜 (大場 達之・宮田 昌彦)

コラム
(新)魚影逍遥−魚に発信機をつけて バイキングの国へ(三田村 啓理)
海で拾った万華鏡 本のちから (飯島 明子)

168号(2007年2月号)

特集「有明海生態系 かけがえのない内湾:その特徴と異変からの回復をめざして−2」(東 幹夫・木下 泉:編)

近年,有明海はなにかと話題が多く,専門的にも一般的にも注目度が高い。しかし,その現状を切に伝えている情報は,実はたいへん少ない。
本特集では,有明海の現状について,多方面からの最新の研究内容をご紹介いただくとともに,今後わたしたちが有明海をめぐる問題について,どのように取り組んでいけばよいのかを2回にわたり解説いただいた。第2回目。

田中 克「大陸沿岸から分家した河口生態系」
山口 敦子「有明海奥部が育むサメ・エイ類」
青山 大輔・木下 泉・藤田 真二「有明海湾奥部河口域の魚類成育場としての役割−特産種と普通種間の違い」
八木 佑太・木下 泉・指田 穣・藤田 真二・木全 純明「有明海河口域仔稚魚相の河川間の比較」
太田 太郎「稚魚期を有明海湾奥部河口域で過ごしたスズキの成長」
鈴木 啓太「安定同位体比より見た筑後川河口域におけるスズキ当歳魚の回遊」
藤田 真二・木下 泉・川村 嘉応・青山 大輔「有明海におけるスズキの初期生活史の多様性」
碓井 利明「潮止め前後の諫早湾流入河川におけるヤマノカミ個体数の経年変化」
日比野 学「有明海湾奥前浜干潟汀線域の魚類成育場としての意義」
木下 泉「有明海における魚類成育場としての諫早湾の重要性を顧みる」
東 幹夫・木下 泉「有明海の再生にむけて」

連載

林 健一「日本産エビ類の分類と生態【151】 タラバエビ上科・オキナガレエビ科−オキナガレエビ属」
佐々木 克之「内湾および干潟における物質循環と生物生産【45】 瀬戸内海漁業4.広島県漁業」

追悼
ヤーン・ブルテック先生との思い出 (長縄 秀俊,タチヤナ・オルギリヤノワ,長縄 俊生)

コラム
海で拾った万華鏡 寄生虫好きの学生のこと (飯島 明子)

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