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167号(2006年12月号)

特集「有明海生態系 かけがえのない内湾:その特徴と異変からの回復をめざして−1」(東 幹夫・木下 泉:編)

近年,有明海はなにかと話題が多く,専門的にも一般的にも注目度が高い。しかし,その現状を切に伝えている情報は,実はたいへん少ない。
本特集では,有明海の現状について,多方面からの最新の研究内容をご紹介いただくとともに,今後わたしたちが有明海をめぐる問題について,どのように取り組んでいけばよいのかを2回にわたり解説いただいた。第1回目。

木下 泉「有明海再生大戦 開戦前夜にあたって」
東 幹夫「有明海生態系の特質とレジームシフトについて」
市川 敏弘「諫早湾調整池内外の栄養塩とクロロフィル a 濃度の変化」
松岡 須美子・川合 真一郎「海水および底泥中のエストロゲン(女性ホルモン)様物質の分布」
竹中 未来・田中 壮太・岩崎 貢三・木下 泉「有明海の浮泥による生物生産への寄与 水質と底質土,浮泥の諸性質と季節変動」
川村 嘉応「有明海奥部のノリ養殖 影響する環境要因と自然環境への影響」
上田 拓史・門出 倫子「有明海の動物プランクトン,とくにカイアシ類の長期変動」
佐藤 慎一・金澤 拓・萩山 竜馬「諫早湾干拓事業に伴う二枚貝類の変化」
伊藤 史郎「「有明海異変」,特にタイラギ資源の減少と今後」

連載

林 健一「日本産エビ類の分類と生態【150】テナガエビ科・カクレエビ亜科−共生関係6,シンカイテナガエビ科−シンカイテナガエビ属・カワリシンカイテナガエビ属」
Rogelio Diaz-Fernandez「【新連載】キューバの漁業の現状 1.キューバにおける海面漁業の現状とその資源管理」

Research Article
長縄 秀俊「東アジアの大型鰓脚甲殻類10.ホウネンエビ類の摂食メカニズム」

コラム
ジャイアントケルプの森(4)【最終回】(川井 浩史)
海で拾った万華鏡 全国干潟調査こぼれ話 (飯島 明子)

166号(2006年10月号)

特集「珪藻の新・生物学」

現在,海洋,湖沼および河川生態系における沿岸域は,様々な重要課題を抱え,そこに生息・生育する動植物の生物相と物質代謝の解明を軸に学際的な共同研究の場になっている。珪藻はそれらの水圏において,今日もっとも多様に種が分化し,また生物量的にも繁栄した藻類の1つである。珪藻とはどんな生物なのか? −基礎的しかし新しい視点に立った生物学的アプローチによるホットな研究成果を紹介する。

田中 次郎「珪藻特集によせて−珪藻の七不思議」
鈴木 秀和・南雲 保「珪藻分類学の新たな哲学」
佐藤 晋也・Linda K. Medlin「珪藻の進化と分子系統学」
小林 敦・田中 次郎「日本産付着珪藻クモノスケイソウの形態と生態」
渡辺 剛・南雲 保「珪藻の葉緑体の形態−共焦点レーザー走査顕微鏡による観察」
阿部 信一郎「河川付着珪藻とアユの生態学的相互関係」
澤井 祐紀「沿岸の古環境復元における珪藻の役割」

連載

林 健一「日本産エビ類の分類と生態【149】テナガエビ科・カクレエビ亜科−共生関係5,フリソデエビ科−フリソデエビ属・トゲツノメエビ属」
川嶋 昭二「日本産コンブ類の分類と分布【94】コンブ科−ネコアシコンブ属(1)−ネコアシコンブ(1)」
佐々木 克之「内湾および干潟における物質循環と生物生産【44】瀬戸内海漁業3.山口県漁業」

Research Article
長縄 秀俊 ・ ヤーン・ブルテック「東アジアの大型鰓脚甲殻類9.ヘモグロビン進化に見る「生きた化石」ホウネンエビ」

Special contribution
Trevor Platt・Shubha Sathyendranath・Venetia Stuart「生物海洋学への誘い」

コラム
ジャイアントケルプの森(3)(川井 浩史)
海で拾った万華鏡 新浜湖ホソウミニナ調査 −現場編− (飯島 明子)

書評
「魚類環境生態学入門 渓流から深海まで,魚と棲みかのインターアクション」(星野 浩一)

165号(2006年8月号)

特集「イルカ研究と水族館」

近年,各地で水族館が注目されている。水族館の中でもっとも人気があるもののひとつは,イルカをはじめとする鯨類であろう。水族館における鯨類は,普段接することのできない貴重な体験を与えてくれるとともに,その飼育の現場は貴重な観察,研究の場ともなる。水族館をフィールドとしたとき,研究者と水族館関係者との間にも新たな共同研究の場がうまれてくる。
水族館で飼育されているイルカを対象に,現在どのような研究がなされているか,鯨類や水族館に興味のある人にはもちろん,水族館関係者にも新しい知識となる,最新の内容を紹介した。

中原 史生「水族館におけるイルカの音響研究」
関口 雄祐「飼育イルカを対象とした行動研究−睡眠を中心に」
村山 司「飼育下のイルカ類における認知の研究」
吉岡 基「飼育イルカの繁殖生理に関する基礎と応用研究」
鈴木 美和「イルカの飼育環境を生理学的見地から改善する」
村山 司「飼育下のイルカ類における環境エンリッチメントに向けた試み」

連載

林 健一「日本産エビ類の分類と生態【148】テナガエビ科・カクレエビ亜科−共生関係4,ヨコシマエビ科−マガタマエビ属・ヨコシマエビ属・オオアゴエビ属」
田中 克彦「(最終回)ウミクワガタ類の生物学【4】系統上の位置および形態の多様性と生物地理学」

Research Article
大石 和恵「海棲哺乳類におけるインフルエンザウイルス感染」
松川 康夫「クロマグロ生態の謎を解く」

コラム
ジャイアントケルプの森(2)(川井 浩史)
海で拾った万華鏡 新浜湖ホソウミニナ調査 −人員確保編− (飯島 明子)

書評
「天草の渚 浅海性ベントスの生態学」(山本 智子)

164号(2006年6月号)

特集「日本分類学会連合と分類学の過去, 現在, 未来」

分類学というジャンルの歴史は古い。生物に名前をつけるということ,姿かたちからグループ分けをすることはまさに生物学の基礎であり,現在ではその手法は分子生物学にまでおよんでいる。同時に分類学はその歴史と対比しながら現在の結果をつきあわせ,進化の道筋をもひもといていく,非常におもしろくもあり,かつ難しい学問である。
分野,生物群別に設立されたそれぞれの学会がいま,分類学というキーワードとともに日本分類学会連合としてひとつの活動をはじめた。
これまでの経緯とともに,今後の分類学発展に向けて次に続く若き研究者たちが何をしていけばよいのか,指針を示していただいた。

原 慶明「日本分類学会連合−生物の多様性維持を考える」
川井 浩史「日本藻類学会と分類学−「藻類」は変わる」
山口 篤・寺崎 誠「日本プランクトン学会における分類学研究について」
奥谷 喬司「日本貝類学会と分類学−過去から現在まで」
朝倉 彰「日本甲殻類学会の紹介−世界で最も長い歴史をもつ甲殻類学の学会」
松浦 啓一「日本魚類学会と魚類分類学−魚類の多様性解明をめざして」

連載

林 健一「日本産エビ類の分類と生態【147】テナガエビ科・カクレエビ亜科−共生関係3,ニセヤドリエビ科−カイメンヤドリエビ属」
田中 克彦「ウミクワガタ類の生物学【3】繁殖生態と個体群動態」
佐々木 克之「内湾および干潟における物質循環と生物生産【43】瀬戸内海漁業2.大分県漁業(その2)豊後灘と豊前海」

Research Article
朝倉 彰「ヤドカリ類の分類学,最近の話題 オキヤドカリ科その3」
長縄 秀俊 ・ バンズラグチ・ザガス「東アジアの大型鰓脚甲殻類 8.「生きた化石」の生き残り戦略」

コラム
ジャイアントケルプの森(1)(川井 浩史)
海で拾った万華鏡−式根島の春 (飯島 明子)

163号(2006年4月号)

特集「遺伝子組換え魚を考える」

遺伝子組換え魚類の研究は,この 15 年間にめざましいスピードで進歩した。以前は成長促進を目指した研究がほとんであったが,最近では消費者にとってメリットをもたらす魚類の作出も試みられている。一方,遺伝子組換え魚が天然水域に逃亡した際に生じるであろう環境への影響を危惧する声も多く聞かれる。
本特集ではこれらの遺伝子組換え魚研究の現状および将来展望を紹介するとともに,その応用の可能性について解説していただいた。本特集は平成 16 年度第2回水産増殖懇話会講演会「遺伝子組換え魚介類と水産増養殖−その課題と将来−」での講演内容を中心に,最新のデータを加えてまとめたものである。

吉崎 悟朗・Alimmudin・Viswanath Kiron・佐藤 秀一・竹内 俊郎「脂肪酸代謝酵素遺伝子の導入による EPA・DHA 高生産魚の作出」
豊原 治彦・家戸 敬太郎「遺伝子組換えによる魚類の肉質改善」
森田 哲朗・吉崎 悟朗・小林 牧人・澤山 英太郎・渡部 終五・竹内 俊郎「魚の卵で薬をつくる−ニジマス卵を利用した組換えタンパク質生産技術の開発」
青木 康展「組換え魚飼育管理の問題」
名古屋 博之「遺伝子組換え魚の安全性と問題点」
Robert H. Devlin「遺伝子組換え魚のリスクアセスメント−成長ホルモン遺伝子導入ギンザケを例にとって」

連載

林 健一「日本産エビ類の分類と生態【146】テナガエビ科・カクレエビ亜科−共生関係2」
田中 克彦「ウミクワガタ類の生物学【2】生活環と寄生,生息場所利用」
佐々木 克之「内湾および干潟における物質循環と生物生産【42】瀬戸内海漁業2.大分県漁業(その1)外海側漁場」
関口 秀夫「イセエビ類の生活史【114】個体群の形成,維持および更新(37)」

Research Article
朝倉 彰・渡部 元・太田 秀・橋本 惇「ヤドカリ類の分類学,最近の話題 オキヤドカリ科その2」

コラム
海で拾った万華鏡−式根島の春 (飯島 明子)

162号(2006年2月号)

特集「サケの生理学」

サケはわが国の重要な水産資源であり,その注目度は高い。しかし水産資源としてだけでなく,生物学的に興味深い要素もたくさん持ちあわせている。海と川を回遊するサケ類の生活史に織り込まれた謎は深い,どのようにして淡水にも海水にも適応しうるのか,なぜ生まれた川に戻ってこれるのか,そこには深く生物学的な機構が関係している。今回の特集はサケの生理学的な機構について,基礎的な部分から最新の研究まで,細部にわたり紹介した。

上田 宏「サケの母川回帰機構に関する生理学研究
内田 勝久「シロザケの回遊と浸透圧調節−鰓の塩類細胞の機能分化と内分泌系による調節」
岩田 宗彦・小島 大輔「サケの降河回遊行動」
小沼 健・安東 宏徳・浦野 明央「産卵回遊の分子内分泌学的基盤」
庄司 隆行「魚類嗅覚受容の特徴とサケ科魚類の母川回帰行動」
田中 秀二「外洋における回遊行動をめぐる謎」
森山 俊介「サケの成長促進における成長ホルモンとインスリン様成長因子」

連載

林 健一「日本産エビ類の分類と生態【145】テナガエビ科・カクレエビ亜科−属の検索,共生関係1」
川嶋 昭二「日本産コンブ類の分類と分布【93】コンブ科−アナメ属(3)−オオノアナメ(1)」
田中 克彦[新連載]「ウミクワガタ類の生物学【1】外部形態と分類の概略」
佐々木 克之「内湾および干潟における物質循環と生物生産【41】瀬戸内海漁業1.愛媛県漁業(その2)」
島本 信夫[最終回]「マダイの生物学【12】資源の保全と持続的利用」
関口 秀夫「イセエビ類の生活史【113】個体群の形成,維持および更新(36)」

Research Article
平野 優理子・池田 英樹・南里 敬弘・高田 宜武・酒井 勝司・三枝 誠行「潮間帯の砂岩(西表島)に生息するアナジャコ(Upogebia snelliusi Ngoc-Ho, 1989)の形態と生態」

コラム
海で拾った万華鏡−船上にて (飯島 明子)

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